読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

愛し沼の底

歪みかわいい集め

寒々しい穴

アリスは穴の中をどこまでも落ちていきました。本当に暗い黒は穴の色をしているらしい。確かに写真の中の黒色は、欠け落ちた空間のように見えた。人間は皆、穴に畏怖する。ダムに開いた水の抜けていく穴、どこまでも続くトンネル、膣から子宮への抜け道……

私の胸には丸く空いた空洞がある。総てを呑み込んで吐き出さない永遠の穴だ。時々、その底のない穴に身を投げてどこまでも深く堕ちて行きたいという考えが沈んでくる。普段は意識の外にある漠然とした灰色は黒くなった時に私の心臓に落下する。魂が重くなる感覚だ。堕ちて行くときの足元の不安は普段の浮足だった幸福感とは真逆の不幸のぬかるみだ。底なしの虚しさが足を捕まえる。

徐々に息ができなくなるのは優しくて甘くて気持ちがいい。お気に入りの首飾りで自分の首筋をきつめに締めているときのよう。黒い黒い空洞の向こう側には白い星がチラチラと光っている。沢山の星が爆発するのを見ていると、とうとうバチンと圧倒的な真っ白が頭を叩く。そうして、また、綺麗になること、かわいくなること、救われることの行進に加わって、歩き始めることができる。穴の向こう側にたどり着くたびに入り口に引き戻されているのだ。

わたしは向こう側に行きたい。白い星の一つになり、あなたがたを照らしたい。