愛し沼の底

歪みかわいい集め

人の悲しみをお前の悲しみで測ってくれるなよ

心が疲れてしまったときに、人は部屋の片づけをすれば良いだとか、自分の動き方に問題があるだとか、自由に、口々に物を言う。けれど、それが何のためになろうか。金を寄越してくれるわけでもあるまいし、慰めに寄り添ってくれるわけでもあるまい。そして、…

おねえちゃん大好き〜姉と私が育児放棄されていた時のこと

姉と私の生活の思い出。 姉が食べさせてくれるものは何でも美味しいものと決まっていてきっと悪いのは僕の舌の感じ方に違いない。それに一番美味しいのは姐さんが差し出す砂糖で出来ているような指の先だ。他のものはみんな酷い味がして当たり前。 pic.twitt…

マンディアルグ「仔羊の血」~あたしは血まみれの子羊よ

マルスリーヌ・カインは被虐の少女として至高だ。アルグの物語には心理描写がない。ただ淡々と残酷な現実が波のように押し迫ってくる。 『ピンク色の子羊さん、青い子羊さん、あたしの護衛になってちょうだい……大きな赤い子羊さん……あたしを助けて……青白い子…

あなたの塵は私の宝物

私は物が捨てられない。特に人から貰ったものが捨てられない。私の性質とは違う、雑音が溜まっていく。理想で塗り固めた部屋の中に雑多な思いが蓄積する。それは地方キャラクターの土産物であったり、ノベルティグッズの趣味でもないタオルであったり、私に…

古井由吉「杳子」と姉と私の愚かな病

「杳子」は1971年の芥川賞を得た古井由吉の小説だ。 古井由吉は、内向の世代と呼ばれている。内向の世代は文芸評論家の小田切秀雄が初めて用いた言葉で「60年代における学生運動の退潮や倦怠、嫌悪感から政治的イデオロギーから距離をおきはじめた(当時…

信じたさから、濁る心根

女性に「僕たちは〜」と叫ばせて、男性に「アタシの気持ち〜」とぼやかせる。私の嫌悪する歌たちのことから話します。 共感できる気持ちいい言葉を異性の口から聞きたいという願いが込められいる。自らの気持ちを歌っているのではなく、歌わせられているとい…

有償交換の愛と無償生産の愛

見返りを求めない関わりはない。己のごとく、他者を愛することしかできない。二つで一つのような自分と地続きの物だけを心に入れられる。しかし生きている以上、赤ん坊のままでいられない。立って歩き、排泄を自分で行い、物心がつくころには人間の孤独が始…

寒々しい穴

アリスは穴の中をどこまでも落ちていきました。本当に暗い黒は穴の色をしているらしい。確かに写真の中の黒色は、欠け落ちた空間のように見えた。人間は皆、穴に畏怖する。ダムに開いた水の抜けていく穴、どこまでも続くトンネル、膣から子宮への抜け道……私…

不細工は死んでしまえ

十五の子鹿ような小娘が好きだ。二十の美しい娘さんが好きだ。三十路の熟れ始めた女が好きだ。四十路の開いた花のヒトが好きだ。五十のいよいよ幾重にも折り重なった絹の母が好きだ。あと十年で聖女のきざしを見せる、女どもが好き。ただし、美しい女に限る…

姉の携帯は涙で溺死した

姉が恋人と別れた。姉は私の三倍は面倒くさい統合失調がちの女だ。たまに楽しい歌が空から降りてくるらしい。そういう自分を恥ずかしく思っていて隠そうとするものの隠しきれない人である。空気は読めないものの言葉を言葉通りに受け取る素直な性格をしてい…

足しげく

新しい靴を買うと靴は必ずどこかに連れて行ってくれる。外へゆくために靴はあるものだ。ローファーが学校に一緒に行ってくれたし、似合わない街におしゃれな靴は連れ出してくれた。それは半ば攫われているような高揚感だった。他の何者が私を押し込めたとし…

イミテーションの本当

魂がない⇔心がない。足がない⇔顔がない 夢がない⇔今がない 人間の偽物だから、人生に目標がないのだ。 私は本当はおばさんの娘が生まれたらつけようと思っていた名前をつけてもらいました。そして、実父実母に放棄されたため、本当におばさんの娘になりまし…

通院記録 1

私が何か言うと先生のキーボードが鳴る。 『神様になれないのならダニとして生きていくしかない』 『人に認識されないと私はここにいるとは言えない』 『献身の頂点にいる人が絶望してしまうなら人間は正しくなることを諦めなくてはならない』 初めは勢いも…